石川県農業開発公社富来牧場の緑豊かな牧草地に隣接する「能登牛繁殖センター」は、寺岡畜産グループの寺岡一夫会長が10年前に別会社として設立し、自ら社長を務める繁殖牧場です。寺岡社長が繁殖に取り組んだのは、「昔の牛は美味しかった。あの但馬系の牛で能登牛を作りたい」という思いがあったからだそうです。その思いが実って、センターで生産した子牛は、北陸三県家畜市場に出荷した上で、県内の肥育牧場で預託肥育し、枝肉は寺岡畜産が買い取って販売するなど寺岡畜産グループ全体で一貫経営のような体制を作り上げています。
繁殖センターの実務を司る駒井優斗場長は、和牛の飼育経験ゼロから入社し、寺岡社長と二人三脚で10年間、牧場の経営に携わり、今では、牧場全般の仕事を統括し、人工授精や受精卵移植までこなしてしまう実力の持ち主です。センターは現在、繁殖雌牛55頭を軸に受精卵移植、早期離乳などのきめ細かい管理により石川県を代表する繁殖経営となりました。
駒井場長は、鹿児島全共の2区で若雌「なな033」を出品し「夢のような経験でした」と語ります。その夢を継続すべく、「北海道全共で会いましょう」と再会を誓いました。
元農水省畜産部長
原田英男