[論説]JAの女性活躍 課題共有し働きやすく
JAの女性職員活躍サミットは、「女性活躍が進まない現状は、JA事業にとってマイナス」との思いから、JA鹿児島きもつきの呼びかけで7日、初めて開かれた。7県の7JAから、女性職員2人と組合長が参加し、車座になって意見を交わした。
JAの女性管理職の割合は、民間企業に比べて低い。JA全中の2023年の調査では課長以上は11・78%。一方、厚生労働省の雇用均等基本調査(22年度)によると企業は12・7%。部長以上はJAが4・33%に対し、企業は8・0%と差が開いた。JA全国大会で掲げた女性参画目標も役員や正組合員、総代にはあるが、職員の設定はない。
女性職員からは、「フォロー体制がないので休みづらい」「育児中の時短勤務で仕事を肩代わりする人に申し訳ない」「専門知識を高めたいがキャリアアップ制度がない」などの声が上がった。育児と仕事の両立で不安を抱えている声や、技能向上を目指したい意欲も伝わってきた。こうした声に耳を傾け、職場の活性化に生かしてほしい。
参加したJA組合長からは「組織運営に比べて、職場活性化の意識がおろそかになっていた」との声があった一方、「仕事の専門性が求められ、横断的支援がしにくい」「時短を取得する人が増え、カバーする人の支援が課題」「孤軍奮闘する女性管理職をどう支援したらいいのか」と悩む声もあった。まずはこうした意見が、七つのJAで共有されたことを評価したい。解決はそこから始まる。
優良事例も数多く紹介された。子育て中の職員に配慮し、時短勤務を小学校6年生まで延長したり、JA窓口の対応時間を1時間短縮したりしているJAもあった。男性職員も加わった女性活躍推進プロジェクトを立ち上げたり、育児などで退職した後も、復職できる制度を設置したり。女性職員をはじめ、総代や役員などの各女性比率を「黄金の30%」にすると独自の目標を掲げたJAもある。職員の声を受け止めるトップの柔軟性が、風通しのよい職場づくりにつながる。
前回のJA全国大会では「男女とも仕事と家庭を両立し、地域でも活躍できるよう業務の見直し、職場風土の改革に取り組む」と決議した。今年の大会では、ジェンダー平等を意識した意欲的な目標設定を求めたい。