[論説]今季の花粉症対策 オンライン診療も有効
今年は1月上旬から、東京都内でスギ花粉の飛散が始まった。都によると調査を始めた1985年以降、最速だという。日本気象協会によると、今シーズンの花粉飛散量は、昨年と比べて九州~近畿で非常に多く、北陸と関東甲信、東北南部で多い傾向にある。東海は前季並み、東北北部と北海道では少ない見込みだ。ウェザーニューズによると、特に西日本では過去10年で最多か、それに匹敵する恐れがあると注意を促す。
対策を急ぎたい。農作業などでの外出時は、花粉の吸引を避けるマスクや眼鏡の着用に加え、医療機関の受診や医薬品の入手を済ませよう。
ただ、病院に行くにも時間が取れず、山間部に暮らしていれば受診をためらう人も多い。時間をかけて病院に行っても診療までの待ち時間が長いこともある。民間の医療機関の調査によると、花粉症を自覚していても約3割の人が治療をしていないという。
そこで提案したいのが、スマホやパソコンを活用したオンライン診療だ。くしゃみや鼻水、目のかゆみなど典型的な花粉症の症状であれば、ほとんどの場合、オンライン診療が可能だ。スマホに専用アプリをダウンロードする場合もあるが、北海道や九州にいながら、深夜まで診察を受け付ける東京の病院などにアクセスできる。後日、必要な医薬品は、受診者が暮らす地域の薬局で受け取れ、医療機関によっては自宅に医薬品を郵送してもらえる場合もある。健康保険の対象となり自己負担も1~3割で済む。
オンライン診療は、花粉症などのアレルギー科だけでなく皮膚科や泌尿器科、心療内科や小児科など、幅広い科目が対象となる。JA厚生連病院でも導入が増えており、例えばJA秋田厚生連湖東厚生病院は内科医、JA山口厚生連小郡第一総合病院では整形外科医が対応する。
便利なオンライン診療だが課題もある。厚生労働省は「対面診療と適切に組み合わせた実施が基本」とし、検査や触診ができず医師が得られる情報に限りがあると指摘する。それでも花粉症治療では有効な選択肢の一つとなる。
国民のほぼ2人に1人が花粉症などのアレルギー症状に悩まされており、もはや“国民病”といえる。生産性を落とさず、花粉の季節を乗り切るには早めの対策と治療が重要となる。