規格外で梨酢 広島・庄原実業高校 所得向上へ無駄なし!
同校は、アジアGAPなどを生かした販売戦略や農家の所得向上をテーマに、2021年から「二十世紀」を香港に輸出する。香港では青く美しい梨が好まれ、色沢や形などの基準が厳しい。
そこで規格外品を有効活用した新たな特産を開発しようと検討。庄原市で酢の製造・販売を手がける、1895年創業の後藤商店が協力して、健康食品で人気の酢への加工を始めた。
同大の吉野智之准教授と、果実や果皮のポリフェノールを調べた。疲労回復や美容効果が期待できる、アスパラギン酸やカリウムなども多く含まれていることも確認した。
果実酢には、23年産の「二十世紀」146キロを使う。遠心分離機で果汁を搾り、酒母を加えて9カ月間アルコール発酵させた。
生徒は2カ月に1回ほどで醸造所を訪れ、発酵を観察して仕込み液の撹拌(かくはん)や温度などをする。食品添加物に極力頼らず「二十世紀」の風味を残すように工夫した。酸度調整と、ろ過をして瓶詰めする予定だ。
杜氏(とうじ)の後藤由紀子さん(57)は「梨を使うのは初めてだが順調。農業者や地域を思う、熱心な生徒を支えたい」と話す。
3年生の新谷歩夢さん(18)は「付加価値で有利販売したい」と話す。今後は商品化に向けて、ラベルシールのデザインなどの作成を進める。