国道19号を折れ、小川村へ向かう同市信州新町越道(こえどう)地区に、車道からも迫力満点の仏像が見える。
西澤さんはリンゴやナス、キュウリ、トマトなどを栽培する、築150年の母屋がある古くからの農家だ。新型コロナウイルスの情報が広がった2020年1月に、薬師如来像の制作を始めた。かつての養蚕部屋を解体し、鉄工所に依頼して鉄骨の枠を組んで厨子(ずし)とした。
手と足はイチョウの大木を使い、頭部と胴体は数種類の木を使った寄せ木造りだ。漆で染めた麻布で、着衣の糞掃衣(ふんぞうえ)を作った。仏像の背後の装飾「光背(こうはい)」の代わりに、自ら描いた北アルプスと太陽の昇降のふすま絵を設置した。
木彫作品はこの他100点を超え、ほとんどが仏像だ。西澤さんは「農業も仏様も長い歳月を経てきたという点で共通するからか、引かれる」と話す。
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