
「世界一の魚市場」として知られる豊洲。千客万来も、海鮮丼など魚介類を使った日本食目当ての訪日客が多い。一方、高品質な国産果実も人気だ。同市場の仲卸・かねす鈴屋が運営する店舗「かねす」は、旬の青果物やフルーツサンドなど軽食を提供する。
同社によると、「イチゴや小玉スイカを購入し、その場で食べていく訪日客が多い」という。依頼があれば、店頭での水洗いやカットにも応じる。
香港から来た20代女性は、栃木産イチゴ「とちあいか」のパックを購入。「日本のイチゴを食べることも、訪日目的の一つ」と喜んでいた。
特に人気が高いのが「いちご串」。江戸の街並みを再現した施設で食べ歩きを楽しめるよう考案し、予想以上に売れ行きは好調だ。“和スイーツ”のいちご大福も、支持を集める。
米国出身の20代女性は「餅とイチゴを同時に食べられるから購入した。日本のイチゴは甘くてとてもおいしい」と話した。

産地フェアも
市場のそばにできた集客施設をショーウインドーとして、産地や卸は国産の魅力発信に取り組む。豊洲市場の青果卸・東京シティ青果は月に1度、施設の一角で産地フェアを開いている。
4月には、JAさがと「佐賀県うまいもんフェア」を実施。イチゴ「いちごさん」や茶「うれしの茶」、米「さがびより」のおにぎりなどブランド品の試食・試飲を企画した。同社の藤澤啓取締役は「国内外の消費者と接点が持てる貴重な場。手探りだが、訪日客を意識した仕掛けも考えていきたい」と話す。
同社の子会社が入る成田市公設地方卸売市場でも、訪日客を想定した集客施設の整備計画が進行中。水産と青果をセットで売り込める豊洲、“日本の玄関口・成田”という好立地を背景に、シティグループの輸出事業は好調に推移。今後、インバウンド(訪日外国人)需要を切り口とした一層の拡大も、期待される。