
3COINS

全国に300店舗以上を展開する雑貨ブランド「3COINS(スリーコインズ)」は、生活雑貨やインテリアなどを300円を中心に販売する。そんな人気チェーンが2025年2月から、おにぎり事業に参入した。飲食店とコラボし、「3COINS」原宿本店の他、東京都内にある同飲食店の3店舗でおにぎりを販売する。
原宿本店ではこれまで、フルーツサンドやアイスなど、トレンドを意識した食品を扱ってきた。その中で、地方観光客やインバウンドなど多様な客層に日本の食文化を気軽に楽しんでほしいとして、おにぎり事業への新規参入を決めた。
おにぎりは「スリコオニギリ」と銘打ち、1個324円を基本にして売る。各地の郷土料理をアレンジした、「鮭のちゃんちゃん焼き」や「高菜ゆずめんたい」など展開。原宿本店では40~50個のおにぎりが毎日完売し、「具の珍しさを評価する客も多い」(同社スタッフ)という。

象印マホービン

炊飯器メーカーの象印マホービン(大阪市)は22年、おにぎり専門店の「象印銀白おにぎり」を大阪市にある阪神梅田本店にオープンした。今年9月には、市内にある商業施設「コムズガーデン」内に2号店をオープンする。同社の最高級炊飯器「炎舞炊き」で炊いたご飯が売りで、米の消費量が減り通づける中、おにぎりでさらなるご飯食の体験機会の創出を目指す。
「象印銀白おにぎり」の売れ行きは毎年増加傾向で、24年には過去最高の売上高を記録。創作おにぎりの「海苔づくし」(281円)など、多い日には1日で700個以上を売り上げる人気ぶりだ。

コメダ
大手カフェチェーン「コメダ珈琲店」を手がけるコメダ(名古屋市)は今年2月、新業態となるおにぎり専門店「おむすび米屋の太郎」を東京都新宿区の商業施設にオープンした。同月には埼玉県内にも2店舗を新規開店し、名古屋名物の「天むす」や「味噌(みそ)ヒレカツむすび」に加え、地鶏「名古屋コーチン」(330~580円)などの特産品を使ったおにぎりを売り込んでいる。
どんな米が合う?
おにぎり市場の成長はどこまで続くのか。現在、コンビニおにぎりの販売数量は年間50億個以上といわれる。大手グルメサイト「食べログ」でのおにぎり専門店の掲載数は2197店(4月末時点)で、5年間で約2倍に増えた。従来は、低コストで参入できる利益率の高さが売りだったが、近年は異業種参入や専門店が増加するブームで、風向きが変わった。おにぎりは、米の魅力を広く訴える重要な商材だ。各社の生き残りに向けた工夫が、米の新たな価値提案につながってほしい。
(鈴木雄太)