[継ぐメシ! つなぎたい郷土食]農繁期楽しむ常備食 しょうゆ豆 香川県
しょうゆ豆は、一般的にゆでて食べるさやの青い未成熟ソラマメではなく、さやが黒くなるまで成熟したソラマメで作る。
香川県では、温暖な気候を生かし、多くの農家が米の裏作でソラマメを栽培していた。年中食べる量のソラマメを栽培し、田植え前の5月に収穫、乾燥させて保存。農繁期の常備食として、どこの農家でもしょうゆ豆を作っていた。
偶然生まれた味
県農業経営課によると「昔、四国巡礼のお遍路さんが接待でもらったソラマメをほうろくでいっていたとき、はじけたソラマメがしょうゆつぼに入ったのが由来とされている」と話す。
また、文禄年間にしょうゆの製造が始まった同県の小豆島が発祥という説もある。
ソラマメをいる時間が少ないと皮にしわが寄り、焦げてしまえば皮が破けてしまう。そのため、じっくり弱火で焦げないよう、常にかき混ぜながら豆が膨れるまでいる。
JA香川県香川地域女性部長で高松市在住の松野久子さんは「雨の日や冬、外で作業ができないときに母親が作っていた」と振り返る。
一口で病みつき
調味液に漬けたままのしょうゆ豆は、冷蔵庫で約10日~2週間保存が可能。おかずやお茶請け、弁当にも入れる。
同女性部員は「食べ始めたらやめられない。年中食べる」と声をそろえる。しかし、しょうゆ豆は作る手間が掛かり、家で作る人は少なくなった。市販品のしょうゆ豆を購入する人が増えている。
松野さんは「郷土料理を絶やさないよう、仲間と一緒に作り方をつないでいきたい」と力を込めて語る。
レシピ
■材料(4人分)
乾燥ソラマメ200グラム、水400ミリリットル、A(ざらめ150グラム、しょうゆ30ミリリットル、トウガラシ1本)
■作り方
①熱したほうろくか、厚手のフライパンにソラマメを入れる。ソラマメが膨らむまで、混ぜながら弱火で20~30分いる。
②鍋に水とAを入れ、煮立たせる。
③火を止めた②に①を加え、ふたをして一晩置く。 動画が正しい表示でご覧になれない場合は下記をクリックしてください。
https://www.youtube.com/watch?v=T_sEkCz-XPc