
春分の日に握る
春の彼岸の定番料理、ぼた餅。福島県では、「じゅうねんぼた餅」が多く食べられている。JA福島さくらいわき地区女性部三和支部の若松律子さん(72)は「今年のお彼岸もじゅうねんぼた餅で決まりね」と声を弾ませる。彼岸の中日である21日(春分の日)に「じゅうねんぼた餅」を握って、先祖にお供えする。
三和地区では日頃から、ゴマの代わりとしてエゴマが使われるほど、かつて栽培が盛んだった。幼い子どもがゴマを収穫するときに枝で目を突いて失明したことがきっかけに、ゴマからエゴマに代わったという言い伝えもある。「昔はどの家庭でも栽培していたじゅうねんだが、今では少なくなった」(同女性部)と話す。
エゴマするだけ
「じゅうねんぼた餅」は、小豆のぼた餅に比べ、エゴマをするだけで食べられる手軽さが魅力だ。祭日だけでなく、農作業の合間などに食べられるほど愛されてきた。
今は砂糖を使った甘い味付けだが、元々は塩味だったという。戦後、日本が豊かになる中で今の味になった。若松さんは結婚した当時を振り返り、義父からしょっぱい「じゅうねんぼた餅」を所望されたことを懐かしむ。
エゴマはアルファリノレン酸を多く含んでおり、健康に良いとして近年、注目を集める。支部長の根本千里さん(68)も「昔からじゅうねんぼた餅を食べている人は、元気に長生きしている」と明るく話す。
レシピ
■材料(8人分)
もち米5合、エゴマ2カップ、砂糖2カップ、塩小2分の1
■作り方
①もち米を洗って、1時間ほど水に浸す。炊飯器で炊く
②強火で熱したフライパンで、エゴマをいる。2、3粒プチッとはじけたら、火からおろす(およそ2、3分程度)
③②をすり鉢でする。途中、砂糖・塩を加えてさらにする。砂糖の量は好みに合わせて加減する。粒々がなくなる程度にすると、口当たりが良くなる
④炊いたもち米を大きな容器などに移して成形する。赤ちゃんの拳くらいの大きさで俵形にする。形が崩れない程度に軽く握る
⑤④を③のすったエゴマの上で転がす
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