適正価格へ努力義務 買い手にコスト考慮求める 指導・勧告も検討 政府
政府は、農畜産物の売り手が費用を把握・説明し、買い手がそれを考慮して値上げを検討する形を目指している。最終的な価格は当事者間の交渉に委ねるため、実効性をどう高めるかが課題となる。
そこで政府は、費用の考慮・明確化を努力義務とする考えだ。農相が「行動規範」として判断基準を明確化する。不十分な場合は、必要に応じて指導・助言や勧告・公表などの措置を講じる。勧告に必要な報告徴収や立ち入り検査も想定する。程度によっては公正取引委員会への通知もありうる仕組みとする。
不十分とされる事例を整理する。売り手が生産費の上昇などを理由に価格交渉を申し入れても買い手が応じなかったり、過度に詳細な費用の内訳を提出するよう求めたりする場合などを想定する。
その他、生産者への補助金などを理由に買い手が値引きを求める場合や、消費者の値ごろ感などを理由に買い手が生産費を大きく下回る価格での納入を求める場合も該当する。
政府は生産から消費までの各段階の費用や取引価格について調査を進めている。これも基に、価格交渉などの際に使える「コスト指標」の作成を急ぐ。
改正食料・農業・農村基本法は、農畜産物の価格形成で「持続的な供給に要する合理的な費用が考慮されるようにしなければならない」と定める。政府は来年1月召集の通常国会に価格形成に関する法案を提出する。