交付金の活用呼びかけ
全国で学校給食米が大幅に値上がりしたことを受け、文部科学省が複数の自治体に影響を聞き取ったところ、保護者負担となっている給食費の値上げを避けるため、「米飯回数を減らした」「肉・野菜を安価な食材に変えた」など対応に苦慮している実態が分かった。同省は他の自治体にも随時聞き取りを続ける一方、緊急対応として「重点支援交付金の活用」を呼びかけ、農水省と連携して対策に当たる考えを示した。23日の衆院農水委員会で、日本維新の会の池畑浩太朗氏の質問に武部新文科副大臣が明らかにした。
答弁や同省健康教育・食育課によると、聞き取りは同委員会の直前に実施。「普段から連絡を取っている」5、6市町村の教育委員会に給食米の値上がりに伴う影響を尋ねた。
どの自治体も「影響が出ている」と答え、給食費の値上げを回避するため、「米飯回数を減らす」「肉や野菜などの食材を安価なものに変更」「高騰分を市が負担」といった対応策を取っていることを明らかにした。
日本農業新聞が47都道府県の学校給食会に行った緊急調査によると、学給会が自治体に売り渡す本年度当初米価は前年同期比1・3~2倍超に上昇。学給会や自治体の担当者は取材に、「米飯回数を減らすしかない」「地場産農産物が使いづらくなる」「おかずやデザートを減らしたり、安価な食材に変えたりしている」など食事の質が低下する恐れを明らかにしていた。
学給米の値上がりを巡っては、阿部俊子文科相が22日に「給食の質の確保は本当に重要」との認識を言明。武部氏も23日の答弁で「給食が物価高騰の影響に左右されることなく、安定的に実施されることは重要」と述べ、「昨年12月通知の『物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金』を活用する」よう改めて呼びかけた。
同交付金は、エネルギー・食品価格の高騰で影響を受けた生活者や事業者の支援などが目的。同省によると、学給米の値上がりに対応する唯一の交付金となっている。
(栗田慎一、佐野太一)