生産量も消費量も世界一ですから、アメリカの牛肉相場は世界の指標になります。100年以上の歴史を有するシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)では、さまざまな商品の先物取引が行われていて、逐次その相場を公表しています。その中の一つに生牛(Live Cattle)があります。厳密にいうとこれは牛肉とは違いますが、世界で牛肉の貿易をする人は常に注目している指標です。今年10月限月の生牛先物相場は先週7月14日に過去最高を更新し、182.63セント/ポンドとなりました。単位が分かりにくいので、ここで計算してみましょう。
アメリカの平均的な生牛出荷体重は1320ポンドです(1ポンド0.4536キロで約600キロ)。仮に直近1か月の平均相場を178セント/ポンドで1ドル140円として計算すると、1頭で32万9000円となります。次に、ここ30年間で一番低い相場は1996年4月に記録した54セント/ポンドでした。仮に1996年当時の年平均相場を65セント/ポンドで1ドル110円として計算すると、1頭で9万4300円となります。つまり、この27年間で牛肉の国際相場は3.49倍になったということになります。
では国内相場はどうでしょうか? 東京食肉市場の和牛去勢A4等級の今年6月の枝肉平均価格は消費税込みで2196円/キロでした。1996年度の枝肉平均価格は消費税込み1804円/キロでしたから、この間の国内相場の上昇は1.22倍にとどまったということになります。ちなみに当時の消費税は3%でした。
このところの飼料の高騰で和牛農家の方々は生産コストの上昇が著しく、大変なご苦労をされていることと思います。今こそ和牛品質の類まれなる高さを訴求して輸出拡大を図り、世界の食卓に彩りを添えましょう。本校講師陣も海外の和牛エンドユーザー向けのカッティングセミナーを行うなど、そのためにできることを頑張ります。
公益社団法人全国食肉学校
総合養成科第23期卒業
専務理事学校長
小原和仁