この事業では株式会社群馬県食肉卸売市場およびフランスの精肉業界を牽引するMAISON COSSEも協働しており、欧米で需要の高いロイン系以外の部位の、いわゆる「セカンダリーカット」のひとつである肩ロースを使用していることも注目に値します。

先日、この事業にかかわっているフランスの方々が全国食肉学校を訪問し、牛肉の小割すじ引きの実習を見学しました。パリ精肉協会の会長を務めるMAISON COSSEの代表は、日本のすじ引きは自社の技術と共通していると、大変興味深そうに本校講師のナイフ捌きを見ていかれました。私はこれまで海外ですじを引くという場面を見たことがなかったので、日本のすじ引きの技術はわが国独特のものだと思っていました。そのため、彼の発言が大変意外でした。そして、世界の食肉文化はその地域ごとに多種多様なのだということを改めて認識し、もっと世界を知らなければならないという思いを新たにしました。
とはいえ本校講師の海外出張は普段エコノミークラスなので、パリに出張した帰りの飛行機で上州和牛を食べることができないのは何とも残念です。
公益社団法人全国食肉学校
専務理事学校長
小原和仁