
食肉の貿易にも多くの書類が必要になりますが、とりわけ衛生証明書は重要な書類となります。それらが揃っていないと、基本的に貿易相手国で通関することができません。そのため、下手をするとシップバックといって積出港に戻される事態さえあり得ます。そうなると冷蔵食肉の場合は商品価値を失いかねないため、皆細心の注意を払って業務にあたっています。しかしそこは人間のすること、ミスを完全にゼロにすることができるとは言い切れません。
本校の卒業生で、JA全農インターナショナル株式会社の松田慶彦牛肉輸出担当シニアマネージャーによると、改善の検討をするべきところが多々あるようです。例えば、現在は膨大な枚数となっている衛生証明書を契約毎に集約化するとか、紙の書類を電子化する等です。と畜場や食肉衛生検査所、さらには動物検疫所や両国税関職員などの現場での負担をできるだけ小さくし、効率化とともにミスを無くす仕組みを作ることが、牛肉輸出量の拡大に繋がるとのことでした。国も牛肉輸出に携わる方々の意見を聞く機会を作ってくれています。早いうちに輸出関連業務の合理化を実現できるよう期待します。

公益社団法人全国食肉学校
専務理事学校長
小原和仁