相野谷川の2カ所で越水し、流域の田が冠水した三重県紀宝町では、JA伊勢が被害の確認を進めている。地域では、お盆前から収獲が始まっている田もあり、稲刈りはこれから本格化する。担当者は「台風上陸を前に刈り取りを急ぐ農家もあったが間に合わなかった。流木などが残るとコンバインが動かせなくなる」と語った。
京都府では二つの集落が孤立した福知山市の他、舞鶴市でも3世帯が土砂崩れで孤立。うち80代夫婦の安否が分かっておらず、市が確認を急いでいる。
一方、直撃コースとなった和歌山県有田川町のブドウ農家、大南康治さん(67)は風雨が激しくなる前の15日早朝、自宅近くの「巨峰」の園地に行き、14日に張った1ヘクタール分の防風ネットの固定を確認。通過後に再び確認すると、複数の枝先が折れていたが落果はなかった。「被害が大きくなく何よりだった」と語り、改めて防風ネットの状況を確かめていた。
各地で停電 集乳は無事
4万世帯弱が停電した三重県では、県酪農農業協同組合が搾乳への影響などを調べている。15日早朝、予定通り県内25戸の集乳に出発。途中で倒木による通行止めがあり、2時間かけて迂回して集乳を無事終えた。ただ、停電はその後、深刻化した。担当者は「無事であれば良いが」と祈るように言った。
愛知県酪農農業協同組合も朝から193戸で集乳。担当者は「停電になった牧場もあるかもしれない」としつつ、「現段階では被害は確認されていない。通過後も風の吹き返しがあり、予断を許さない状況だ」と語った。
各電力会社によると15日の停電は最大で三重県3万9950戸、大阪府1万4640戸、和歌山県9130戸、京都府5340戸、愛知県4490戸などとなっている。
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