

同地区は昼夜の寒暖差が大きくソバに適した気候で、110戸が3500ヘクタールで生産。転作品目として面積が拡大し1980年から作付面積日本一を誇る。一方、「信州」「島根」といった本州のブランドに比べて知名度が低いのが悩みだった。
自身もソバ農家であるJAきたそらちの田丸利博理事は「資源は限られており、ただ生産していても生き残れない」と強調する。
「祭り」に5万人 小売りと取引も
知名度向上のため、関係者でつくる実行委員会は「幌加内町新そば祭り」を1994年から始めた。28回目の昨年は道内外の14店舗が出店し、道内や全国から5万人が来場した。そば打ち大会などの催しも用意し、産地をアピールする格好の機会となっている。
販売面では、規模を生かした戦略を構築。外食チェーンなどとの取引を進め、2023年にはセブン-イレブンとの取引を開始。「幌加内産」と銘打った商品も生まれ、知名度向上につながった。現在は年間生産量約2000トンのうち、セブン向けが2割、外食・中食向けが4割程度を占めている。

施設に一元集荷 品質安定で信頼獲得
安定した品質と出荷で取引先との信頼関係も築く。収穫したソバは町内の乾燥調製施設に一元集荷し、水分量の調整やごみの除去を徹底。取引先の歩留まりを高めるのに大切な工程だ。またソバの品質維持のため、14年には、雪を活用した貯蔵倉庫を建設した。来年には、町の出資で設立した「ほろかない振興公社」が、十割そばなどに加工する工場を新設する予定だ。
JAでは珍しい、むき実加工も手がけ、その品は平均より1俵当たり2000円ほど高く取引される。むき実で発生するそば殻はバイオ燃料「バイオコークス」としての活用も始まっている。
4月には燃料の製造拠点が稼働した。田丸理事は「面積だけでなく全国のソバ産地に先駆けて加工、貯蔵、廃棄物の活用まで行い、“真の日本一”の産地になる」と力を込める。