「言葉にならない。こんな早く達成するとは……」。こう偉業をたたえるのは、世帯数の9割以上が「大谷」性を名乗る、秋田県能代市栗山地区で米を生産する農家の大谷直人さん(52)だ。
同地区は大谷選手の曾祖父・三蔵さん(故人)の出身地で、近隣地区に今でも大谷選手の親族が暮らすなど、大谷色が極めて強い。
直人さんは昨年から自ら栽培する「あきたこまち」を「大谷米」として、道の駅やインターネットで販売する。“大谷選手のルーツの地”で育てた米という物語性も手伝い、精米9キロ7500円(送料込み)でも販売実績はまずまず。購入者の中には大谷選手のファンも少なくない。
米の乾燥調製に追われた同日、歴史的瞬間をX(旧ツイッター)で知り、家族で喜びを分かち合った。また達成を記念して、精米と玄米を合わせた「50-50」セットを販売するため、販売サイトの情報を更新するなど、あわただしく過ごした。
直人さんは「大谷選手の活躍は、栗山に住む農家として大きなエネルギーになる。ぜひ大谷米を大谷選手にも食べてもらい、食で後押しできれば、うれしい」と力を込める。
大谷選手の古里、岩手県奥州市の岩手銘醸は、「50-50」の偉業達成を記念した日本酒「奥州ノ龍」を限定で250本販売する。同市産の酒造好適米「結の香」を使った純米大吟醸。ボトルは黒を基調とし、球を打つ侍のラベルが張られている。価格はおちょこ(ちょこ)付きで1本(720ミリリットル)5050円(送料込み)。
同社の及川順也専務は「大谷選手と同じ古里に生まれ光栄だ。この日本酒を機に一人でも多くの人たちに奥州市に足を運んでもらい、地域活性化の一助になれば」と意気込む。
(前田大介)
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