NHK朝の連続テレビ小説で放送中の「おむすび」の制作に、福岡県のJA糸島や糸島市が全面協力している。糸島の圃場(ほじょう)で撮影されただけでなく、劇中に使う野菜は、ほぼ糸島産。管内の農家は野菜やコンテナの提供に加え、演技指導でも協力して、糸島産品の知名度アップを狙う。
同市は物語前半の舞台。橋本環奈さん演じるヒロイン・米田結の実家は農家だ。米田家は1995年の阪神・淡路大震災で被災し、神戸市から祖父母が住む糸島に移住したという設定。ブロッコリーやニンジン、トマトなどを作り、農作業の場面も多い。画面に映る〇(まる)糸マークのコンテナは、今もJAで現役のものだ。
JAでは、3月まで担い手に出向くJA担当者(愛称TAC)を務め、4月から直売所「伊都菜彩」の外販広報担当になった徳安出雲さん(38)がNHKとの窓口を務める。ロケに協力してもらえる農家を選定したり、撮影に必要な野菜を集めて大阪市のスタジオに送ったりと奔走。大阪にも出向き、選別や袋詰めなどの演技指導も務めた。
徳安さんは「撮影側の本気が伝わってきたので本気で対応した」という。私物の道具を提供したり、管内農家の倉庫を撮影して回ったりと、米田家の倉庫作りにも一役買った。「農家の所得向上に結び付けたい」との思いを込める。
収穫の撮影では、「糸島富士」とも呼ぶ「可也山」が一望できる場所を、とのNHKの希望を受け、徳安さんが農家の大神辰雄さん(46)を紹介。大神さんはブロッコリーの収穫方法やコンテナの運び方などを指導した。
大神さんは「(俳優陣は)おいしそうと話しながら、楽しそうに収穫していた。糸島産野菜に注目が集まるのがうれしい」と、知名度向上を期待する。

(柴田真希都)