映画は20代女性が田舎暮らしへの憧れと人生のリスタートを切りたいという思いから、東京から移住し、鹿児島県南大隅町の地域おこし協力隊に着任。思い描いていた生活とのギャップに戸惑いながら住民と交流して成長していく物語。2023年11月に公開以降、観客動員数が全国で3100人を超えた。
監督を務めた山下さんは福井県敦賀市出身。17年7月に母の故郷だった鹿児島県南大隅町で協力隊員となり、美しい町の記録を映像で残すための活動をした。全国200人を超える隊員に取材し、隊員の抱える課題や葛藤を映画に盛り込んだ。
13日間のロケ期間のうち、12日間を同町で撮影。JA鹿児島きもつきの女性部がロケ期間中、毎日夕食を作ってくれたという。山下さんは「地元の温かい食事は本当にありがたかった」と感謝する。
――山下大裕監督

映画の制作費用はクラウドファンディングで500万円以上集めた。山下さんは「映画を通して協力隊の認知度向上につなげたい。協力隊を志す人がこの映画を観ることで、地域住民や自治体職員と地域おこし協力隊員の関係について知ることができる」と話す。
協力隊員のやりたいことと、行政の考えとのミスマッチが起きることが課題だが「協力隊の活動内容を事前に知ってもらうことで、ミスマッチを防げたらうれしい」と願う。
山下さんは口コミで上映を広げており、今後、47都道府県での上映を目指す。鑑賞した人からは「協力隊員の抱える課題や自治体職員、地域住民のリアルな様子が描かれていた」「地域おこし協力隊の視点だけでなく、住民、自治会、行政など広い視点から共感できる」などと好評だ。(藤平樹)
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