数量束ねトラック積載増
物流課題の対応で先進地となる、九州地方。東京や大阪の大市場まで運ぶ中継拠点機能を強化する、卸売市場が出てきた。九州各地の青果物を拠点に集約してトラックの積載量を増やし、物流を効率化する狙い。遠方市場への安定出荷が難しくなっている産地をサポートする。
九州の玄関口に位置する、北九州市中央卸売市場。高速道路網の結節点で、貨物線やフェリーのターミナルも集中する。この地の利を生かし、青果卸の北九州青果は今秋、青果物の中継拠点となる新施設を着工する。
同社が、農水省から3分の1以内の助成を受けて整備する施設は、面積が6809平方メートル。荷さばき場は15度、冷蔵施設は5度・2度と分け、品目の特性に合わせて管理する。
九州の産地が東京へトラックで出荷する場合、宮崎発だと19時間、福岡でも15時間かかる。出荷量が少ない時期は、積載が十分に埋まらないこともある。運転手の拘束時間の長さや積載効率の低さから、輸送を敬遠されるケースがある。
同社の百合野博社長は、「九州の産地が大都市への出荷を続けるサポートが目的だ」と強調。「当社の拠点で積み替えて他の産地と束ねれば、積載を増やせる。(産地発の便とは)車両を分けることで、無理のない輸送を組める」と語る。<下に続く>


同市場の特徴は、幅23メートルに及ぶ広大な青果棟の中央通路。10トン車が通れる車列を3列設けた。車列の両側には、冷蔵施設や競り場を設置。車両は左右の列で荷降ろしした後、真ん中の車列を通り、速やかに退場できる。
低温施設も2200平方メートルに及び、旧市場の約5倍に拡張した。市場の敷地面積は2・9ヘクタールと旧市場より1割縮小した中でも、「場内物流の効率化と低温保管の機能を最大限、高められる」(青果卸・ファーマインド新筑豊青果の安藤俊浩社長)と評価されている。
同卸は、青果流通大手のファーマインドを親会社に持つ。大資本の流通拠点やスーパーへの配送網を生かせる強みがある。安藤社長は「新市場の機能とグループのネットワークで、集荷力強化と販路拡大につなげたい」と展望する。