宮崎の食については、子どもの頃の思い出もたくさんあります。でも実際に作り手の方々を訪ねてお話を聞かせていただくことで、今の方がずっと宮崎の食への思いが強くなってきました。生産者の方々が温かいということが分かってきましたね。ただおいしいだけではなくて、こういう人たちが一生懸命作るからおいしいんだなと、心の底から感じるようになりました。
忘れられない取材がたくさんありますが、その中で特に印象的なものを二つ紹介します。
まずはピーマン。農家さんに取れたてのものを生で食べさせていただいたんですが、普段スーパーで買っていたものとは、次元が違い過ぎました。ピーマンには苦いというイメージがあると思うんですけど、まったく苦味を感じません。まるでキュウリのような水分量で、苦さよりもみずみずしさにあふれていました。
ピーマンの肉詰めという料理がありますよね。半分に切ったピーマンにひき肉を詰めて焼くじゃないですか。でもそこの農家さんに教えてもらった作り方は、生のままのピーマンに炒めたひき肉を詰めるんです。ピーマンがあまりにおいしいので、焼いたらもったいないんですよね。家に帰って作ったところ、夫も「今まで食べたピーマンの肉詰めで一番おいしい」と言っていました。
もう一つはシイタケです。私が取材に行ったのは、高千穂峰の麓にある農家さん。シイタケ栽培のために普通の平地に自分たちで木を植え、木陰も計算して作り始めた上、霧島山系の山水が流れるようにした場所で、原木シイタケを作っているんです。
香りが異次元でした。置いてるだけでもすごく香るんですけど、ちょっと火を通した瞬間から、部屋中に濃厚な香りが広がっていって。口に入れた瞬間にその香りが倍増した上、うま味があふれ出しました。とても肉厚ですし、シンプルに焼いてバターしょうゆで食べると、お肉に匹敵するくらいの食べ応えがあるんです。他にもいろいろな食べ方を教わり、楽しんでいます。
生産する「田中椎茸(しいたけ)」の代表は、シイタケの素晴らしさを世界の人に知ってほしいと願い、パリでプロモーションをしたそうです。その思いが伝わってほしいですね。
干しシイタケもとてもおいしかったので、わが家では、おみそ汁のだしは干しシイタケと決めています。前の晩から入れておくだけで、翌日の味が変わります。
お米は、夫の実家が宮城県で米農家をしていますので、そちらから送っていただいています。米不足と言われる中、ありがたいことにおいしい新米を送ってもらいました。
宮崎と宮城。1字違いですけど、南と北ですから食材も全然違うんですよね。結婚して1年ほどになりますが、北の方のおいしい食材も味わっています。
夫は気仙沼育ち。秋に気仙沼に行った時にサンマをいただいたら、ほんとにおいしくて。その時初めて知ったんですけど、取れたての新鮮なサンマは、きれいな青い色をしているんですね。それまでそんな鮮やかな青い姿を見たことがなかったので、びっくりしました。
夫とは、それぞれ違う田舎で良かったねと話しています。おかげで、ぜいたくな食生活を送れています。 食事は、体をつくるために大事であると同時に、おいしくて楽しいものです。それだけに大切なんだと、仕事を通じて気付きました。
(聞き手・菊地武顕)
さかい・ひとみ 1989年、宮崎県生まれ。2008年、アイドルグループ「アイドリング!!!」14号(2期生)としてデビュー。15年に卒業。タレントの傍ら、ジムでパーソナルトレーナーとしても活動する。「火曜ゴールデンよかばん!!」(UMKテレビ宮崎)レギュラー。宮崎県延岡市の「延岡観光大使」「のべおか健康アンバサダー」などを務め、今年「みやざき大使」にも就任した。