年末年始に懸念されていた生乳廃棄は、酪農・乳業界を挙げた取り組みが奏功し、応援消費も広がったことで、回避できた。ただ、当面は需給状況に注視が必要だ。もっと牛乳を普段から消費してもらうため、酪農家直伝の牛乳を使った料理や、バーテンダーが教える牛乳カクテルを紹介する。
酪農家直伝 カッテージチーズの炒め煮
日本酪農発祥の地といわれる千葉県・安房の嶺岡地域の酪農家が薦める牛乳の料理は、自家製カッテージチーズだ。同地域では「チッコカタメターノ」と呼ばれている。
同県鴨川市にある松本牧場の松本光正さん(59)は「和食、中華、デザートにも使えるのが自家製カッテージチーズの特徴だ」と説明する。
材料は牛乳と酢だけだ。作り方も簡単で、鍋で温め、沸騰する前に少し酢を入れる。少しすると牛乳が固まり、チーズとホエー(乳清)に分離する。ざるなどでこし、固形化させたら完成だ。

妻の明子さん(59)は「牛乳1リットルに対して酢を20ミリリットル加えるのがおいしく作るこつ」と話す。牛乳1リットルで約200グラムのカッテージチーズができる。冷蔵で10日、冷凍で半年保存できるため、松本家では一度に4・5リットルの牛乳を使いカッテージチーズを作っているという。
そのままでもおいしいが、同地域の酪農家は、長ネギやニンジンなどと炒め、砂糖としょうゆで煮る「カッテージチーズの炒め煮」にして食べるのが定番だという。光正さんは「七味唐辛子としょうゆを掛けたり、みそを付けたりすると酒のつまみにぴったり。蜂蜜を掛けると、食後のデザートにもなる」とさまざまな食べ方をアピールする。
カッテージチーズ

■材料(4、5人前)
牛乳4.5リットル、酢110ミリリットル
■作り方- 鍋に牛乳を入れ、鍋を火にかける。
- かき混ぜながら牛乳を温め、沸騰直前に酢を加えて混ぜる。牛乳が固まり始めたら火を止める。
- ②をざるに上げる。ざるを前後左右に振り、ホエーをこす。
- 固形化したら皿に盛り、冷ます。
- 好みの大きさに切り分ける。
カッテージチーズの炒め煮

カッテージチーズ400グラム、長ネギ1本、ピーマン2個、ニンジン2分の1本、油、砂糖、しょうゆ各適量
■作り方- カッテージチーズは手でほぐし一口大にする。長ネギは斜め切り、ニンジンは半月切り、ピーマンは細切りにする。
- フライパンに油を引き、長ネギ、ニンジン、ピーマンを炒める。
- ②の野菜に火が通ったら、砂糖としょうゆを加え、さらに炒める。
- ③にカッテージチーズを加え、砂糖としょうゆで味を調え、少し煮る。