岸田文雄首相は11日、東京都内で開かれた2023年度日本農業新聞全国大会の夕食会であいさつし、政策の柱に「食料や生産資材の過度な輸入依存からの脱却に向けた構造転換」や「国内生産の増大を図るための食料供給基盤の確立」を位置付けると表明した。食料・農業・農村基本法の見直しに向け6月にもまとめる各分野の政策の展開方向は、経済財政運営の基本指針(骨太の方針)に盛り込むとした。
同法見直しは「年度内の改正案の国会提出を視野に」進めると改めて表明。「生産者の皆さんが未来に希望を持てるよう農政を転換していく」と述べた。展開方向の中では、不測時の食料確保に加え「平時から国民一人一人が食料にアクセスでき、健康な食生活を享受できる社会を目指す」と説明した。
国際的にも食料安全保障は緊急性が高いと指摘。19~21日の主要国首脳会議(G7広島サミット)の議長国として「食料安全保障を含む地球規模の課題へのG7による対応を主導していく」と決意を表明した。
日本農業新聞全国大会であいさつした岸田文雄首相の発言は次の通り。
このたび、創刊95周年の節目を迎えられたこと、心よりお祝い申し上げる。国内唯一の日刊農業専門紙として食料・農業・農村に関する情報を日々発信していただいていること、改めて敬意と感謝を表させていただく。
世界規模の食料危機の中、食料安全保障の強化は、緊急の対応が必要な世界の重要課題となっている。わが国はG7議長国として来週のG7広島サミットで食料安全保障を含む地球規模の課題へのG7による対応を主導していく。
そして年度内の食料・農業・農村基本法改正案の国会提出を視野に、幅広い関係者の参画を得て、6月をめどに食料安全保障を含め食料・農業・農村政策の新たな展開方向を取りまとめ、その内容を骨太の方針に盛り込む。
その中で不測時の食料確保だけでなく、平時から国民一人一人が食料にアクセスでき、健康な食生活を享受できる社会を目指していく。食料や資材の過度な輸入依存からの脱却に向けた構造転換や、人口減少の中でも国内生産の増大を図るための食料供給基盤の確立を政策の柱に位置付けていく。今後とも現場の方々に寄り添い、思いを受け止めながら生産者の皆さんが未来に希望を持てるように農政を転換していく。
日本農業新聞には、農業関係者はもとより、広く国民の皆さんに食料・農業・農村に関する情報を発信し、農政の転換に向けた国民の理解醸成に貢献していただくことを心から期待している。
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