
初の収穫を迎え、米を作っている「ヒノエ島」から神々の都に、一時的に戻ったサクナヒメ。神々を統括する主神「カムヒツキ」は、サクナヒメの米と母トヨハナが育てた米をそれぞれ用意し、「味を比べてみるがよい」とサクナヒメに勧めます。
自分の米を食べた後、母の米を食べると、サクナヒメは目を見開きます。その様子に、カムヒツキは「同じ米とは思えぬであろう。甘み、粘り気、かみ応え。全てが一級品じゃ」とたたえます。

このランキングは、同協会から都道府県に打診し、選出された品種が対象になります。100人の専門評価員が炊飯した米を試食し、複数産地のコシヒカリのブレンド米を基準に、(1)外観(2)香り(3)味(4)粘り(5)硬さ(6)総合評価--を比べて評価します。カムヒツキは、サクナヒメの母トヨハナの米の「甘み、粘り気、かみ応え」を評価しましたが、その視点は米の食味ランキングと共通しています。
ランキングは、特に良好だと最高位の「特A」、良好だと「A」といった具合に評価します。直近の2023年産米は、全国から144の出品があり、そのうち、43が最高位の「特A」と評価されました。北海道の「ななつぼし」から新潟・魚沼の「コシヒカリ」、鹿児島・県北の「あきほなみ」まで、全国28道県で「特A」が出ています。サクナヒメの世界にも米の食味ランキングがあったら、米の味の違いをよく分かっているカムヒツキが評価するのでしょうか。豊穣神であるトヨハナやサクナヒメが作った米はどう評価されるのか、気になるところです。
サクナヒメは母の米を食べた日の夜、自分の米と「何が違うのじゃ?」とずっと考えていました。種もみは母が作っていた米が由来。田も同じ。「肥やしが違ったのか? それとも水か? いや中干し…」と、これまでの作業を振り返ります。「刈り入れの時期も味に関わると、田右衛門は申しておったが…」と仲間の助言も思い出し、さらに考えを巡らせます。
島に戻り、仲間とも一緒に母の米を味わったサクナヒメは、「このような米を作ってみたい」とみんなの前で決意を述べます。1年目を振り返り「これだけ手間がかかるのならば、できるだけ良いものを作りたい。食する者が喜ぶものを作りたい」と力を込めて話します。
季節は収穫の秋を終えて、もう雪が降り積もる時期に。「冬の間に、やっておけることは何かないのか?」と早速準備に取り掛かります。最初に手を付けたのが、苗作りに必要な種もみの選抜でした。
サクナヒメの母トヨハナが残した「農書」を頼りに、これまでも稲作の助言をしてきた田右衛門が、今度は優れた種もみの見分け方を教えます。水を入れたおけに、泥と種もみを混ぜて「浮いてきた悪いもみを取っていく」と手順を説明。「沈んでゆく実の詰まった種もみを選び、春に向けて苗作りの備えをしておくのでござりまする」と続けます。
泥水を使って種もみを選抜する方法の他に、現実の稲作では、塩水を使う「塩水選」が取り入れられています。塩は水より重たいため、塩水を入れた容器内は、真水を入れた場合と比べて物が浮きやすくなります。この仕組みを種もみの選抜に生かし、中身が詰まっていない種もみを浮かせて取り除くのが塩水選です。

現実の稲作と同様に、中身がしっかり詰まった種もみを選ぶなど、これまで以上に手間をかけたサクナヒメたちの米作りが始まります。
2年目以降、栽培面積を増やしながら、さまざまな工夫を凝らします。その中で田植え後、一定に苗が育った頃に、サクナヒメの仲間たちが肥料を施すシーンが出てきます。

農水省の「水稲の基本的な栽培技術」では、穂肥の時期に注意を呼びかけていて「出穂前10日以降は玄米中のタンパク質含有量を高め、食味の低下を招く」として、その時期に肥料をやるのは避けるよう促しています。タンパク質が一定に少ないと、おいしい米になるとされている一方、稲穂をしっかり実らせるのには穂肥が欠かせません。稲作農家は毎年、米作り最適な時期を見極めて、肥料を加えています。
サクナヒメたちはさらに米作りを続け、ついに4年目を迎えます。育て役の「タマ爺」に米の名前を付けるよう勧められ、「天穂の誉(あまほのほまれ)なんてどうじゃ?」と提案します。それを聞いた仲間の一人「かいまる」が「あまほほ」と口にすると、仲間たちには「覚えやすいっちゃ」「実に親しみがある」と好評です。「い、いやワシは…」と困惑するサクナヒメですが、米の名前は「あまほほ」に決まるのでした。

テレビ放送の時間帯と放送局は次の通り。
▽毎週土曜日午後11時から=テレビ東京、テレビ大阪、テレビ愛知、テレビせとうち、テレビ北海道、TVQ九州放送
▽毎週火曜日午後9時半から=AT-X
▽毎週金曜日午前1時29分から=熊本県民テレビ
▽9月2日から毎週月曜日午前2時(毎週2話ずつ、最終回のみ1話)=富山テレビ放送
各種動画配信サービスでも配信されている。
(C)えーでるわいす/「天穂のサクナヒメ」製作委員会