多様な和牛肥育を推進 家畜改良で新目標 脂肪の質・効率向上
政府は畜産・酪農政策の指針となる酪農肉用牛生産近代化基本方針(酪肉近)の5年ごとの改定に合わせ、改良増殖目標を定める。
同省は、現状のさしを重視した和牛生産について、「一部で国内の多様化する消費者ニーズとのミスマッチが生じている」と指摘。生産コストの増大や、牛肉需要と子牛価格の低迷などを踏まえ、(1)脂肪の質の向上などに着目した改良(2)分娩(ぶんべん)間隔の短縮や飼料利用性の向上、早期出荷などによるコスト削減--の推進を掲げた。
同省は「さしが和牛の強みという前提は変えず、生産方法の多様化を促していく」(畜産振興課)とする。改良目標では、一価不飽和脂肪酸(MUFA)など食味の向上に重点を置いた種畜の選抜・利用、短期肥育・早期出荷の普及・定着に向けた実証などを掲げた。
乳用牛は長命連産につながる繁殖性や耐久性を重視した改良を進めるため、疾病抵抗性の評価を開始。近年続く猛暑を踏まえ、暑熱への耐性も改良の重点に据える。
「極端な大型化」を抑制する方向性を示した。省力化に向けて普及が広がる搾乳ロボットに適合した改良などを進める。