[論説]JA全国女性大会 多様性生かし変革の時
JA役員に占める女性比率は初めて10%を超えた。JA全中によると、女性の役員は1490人(2023年7月末)と、前年比0・9ポイント増の10・6%となった。女性の正組合員は90万7521人で全体の23・3%(同0・2ポイント増)、総代は2万4584人で10・9%(同0・4ポイント増)。
着実に増えているものの、JAグループが第29回全国大会の決議で掲げた、女性比率を①正組合員30%以上②総代15%以上③役員15%以上とする目標実現は道半ばだ。多様な意見を取り入れることで組織の変革につながる。共同参画の流れを加速させよう。
女性参画を進める一手に、女性農業者が学び成長する場としてのJA女性組織がある。趣味の活動から食農教育、郷土料理の伝承、防災、フードロス削減、高齢者福祉まで内容は多岐にわたる。22~24年度の3カ年計画には「JA女性組織の活動は持続可能な開発目標(SDGs)そのもの、世界の課題解決につながる」とうたう。環境に配慮し、社会のさまざまな問題に向き合う意識は高い。
みそ造りや花の寄せ植え、体操教室などの活動は、暮らしに密着しているのが特徴だ。地域と密接に関わる活動を通して個々の暮らしが豊かになれば、社会の課題にも向き合うことができる。女性組織活動には、それぞれの生活改善を通して、仲間と力を合わせて課題を解決し、組織を充実させようという母ちゃんの願いが込められている。
こうした活動を土台に社会参画を果たそう。興味ある活動に参加したり、やりたい活動をJAに提案してみたり。最初は小さな一歩でいい。女性組織という自己表現できる場を最大限に生かそう。暮らしの中で感じた“もやもや”を勇気を出して発信し、仲間と解決策を探る先に、リーダーの役割が見えてくる。
動き始めたJAもある。滋賀県のJA東びわこは23年、将来の組織活動でリーダーシップを発揮できる人材を育てようと、若い女性対象のワークショップを始めた。同県JAこうか女性部は、資材高騰に苦しむ酪農家を応援する牛乳レシピ教室を提案し、部員を増やした。女性の思いに応える場をつくることで社会参画の後押しになる。
24年度は3カ年計画の最終年度だ。JAは女性や青年組織などと手を携え、多様な意見を柔軟に取り入れよう。