
一方和牛の場合は「もも」や「かた」でも霜降りで軟らかい部分があり、ステーキ用に使うことができます。ここで難しいのは、霜降りなら軟らかいかというと、さほどでもない部位があるのと、赤身だから硬いかというと、やはりそうでもない部位があることです。また、同じ部位の同じ筋肉であっても、場所によって軟らかさと硬さに大きな差があるのです。
どうしたらそれがわかるかというと、自分で切って焼いて食べて、試行錯誤するしかありません。ちょうど今週から全国食肉学校の食肉販売科では「牛精肉」の実習が始まり、学生たちはとても大事なエッセンスを学んでいくこととなります。
話は変わりますが、私は5月の連休に久しぶりに実家に帰りました。たまには両親にお肉料理をごちそうしようと思いスーパーに行ったら、とてもおいしそうな和牛のヒレがありました。普段はなかなか買うことはできませんが少し奮発して買って帰り、ステーキを焼いて食べてもらいました。最近歯が弱くなったとこぼしていた母親が「おいしいおいしい」とステーキ1枚を平らげてくれました。
和牛のヒレの軟らかさについて私はよく知っているつもりでしたが、その軟らかさとおいしさはやはり格別でした。皆さんもハレの日に和牛のヒレはいかがですか?
公益社団法人全国食肉学校
専務理事学校長
小原和仁