
図は牛の生体から枝肉、部分肉、精肉までのおおよその歩留まりを表したものです。それぞれの段階で歩留まりが発生し、生体から見た精肉歩留まりは約36%ということになります。
さて、当コラム40「お肉を食卓に届けるためのプロの仕事」でも触れましたが、脱骨した骨を見るとその色の違いに気がつきます。骨だけのときは白いですが、骨に肉が残っていると赤く見えます。その肉は部分肉として利用されなかった肉ということになります。それがいくらぐらいになるのか、今日は少し計算をしてみましょう。
本来1頭分の牛部分肉になるべき肉が300kgあるとします。技術が足りなくて(あるいはスピードが速すぎて)骨に一部の肉が残り、その重量が全体の0.1%で0.3kg(300g)とします。その会社では毎日50頭の牛を処理しているとして、1日15kg、1か月で300kg、1年で3600kgとなります。牛部分肉セット単価が3000円/kgの場合、1年で1080万円となります。生産性との兼ね合いではありますが、会社経営としてはばかにならない数字です。そもそも牛のいのちをいただくわけですから、歩留まり向上は食肉業界人にとって当然の務めだと思います。
公益社団法人全国食肉学校
専務理事学校長
小原和仁