[論説]プラスチックごみ削減 推進しよう「量り売り」
プラスチックは便利だが、廃棄などによる海洋汚染の他、製造・焼却時に出る二酸化炭素(CO2)の増加による地球温暖化など、さまざまな問題を引き起こすだけに世界的な問題となっている。
11月下旬には韓国で、脱プラに向けた国際条約案策定の最終会合が開かれる。
国連環境計画(UNEP)の報告書(2018年)によると、日本の1人当たりのプラ容器包装の廃棄量は年間約35キロと、米国に次いで2番目に多い。環境省によると国内の廃プラ総排出量は年間823万トンで、推計リサイクル率は87%(22年)。残りの107万トンは焼却するか、埋め立てているのが現状だ。
脱プラで最も先進的といわれるフランスは、使い捨てのプラ容器や食器を禁止する法律を施行。40年までに全ての使い捨てプラ容器をなくすという目標を設け、22年には全ての小売業で野菜と果物のプラ包装を原則禁止にした。国を挙げてプラ製造、使用を規制するうねりをつくりたい。
日本では22年、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が施行されたが、再利用や再生などを基本とした。プラ容器や包装を家庭などで洗い資源ごみとして出して再生されても、輸送にかかるガソリン、洗浄のための水や電気など膨大なエネルギーが使われる。リサイクル率をどれだけ上げるかではなく、私たち一人一人がなるべく使わないという意識を持ち、脱プラを実践することが求められる。
参考にしたいのが、長野県の「北アルプスオーガニックプロジェクト」が実践する「ハカリウリマルシェ」の手法。買い手が容器を持参し、欲しい農産物や加工品の重さや個数を指定して購入する取り組みだ。きっかけは、形にばらつきや傷のある有機農産物を販売することだったが、結果的にプラごみや食品ロスの削減につながった。持参した容器分以上に買いたい場合は包装用の新聞紙や空き瓶を用意するなど、売り手の意識も高い。量り売りは規格外農産物の活用と脱プラ、双方を兼ねる有益な取り組みだ。
売る時、買う時に意識したいのは「出口」。ごみになった時、環境に負荷をかけないかどうかを考えたい。脱プラは世界の潮流だ。政府にはプラ規制を強化し、県や市町村と共に量り売りを推進する支援策を求めたい。