岐阜県の工場で測定
ヤギによるストレス軽減効果を測定したのは、タイヤメーカーのブリヂストン関工場(岐阜県関市)。10月上旬、工場で働く42人が参加した測定会を開いた。
5分ほど、ヤギに触れたり、眺めたりした後、唾液中の含有量が少ないほどストレスが低い状態とされるアミラーゼや脈拍の変化を調べた。
測定の結果、全体の4割強に当たる19人はアミラーゼの量が減っていた。10人は、アミラーゼと脈拍の両方とも下がっていた。
同工場の保健師で、測定会を発案した池戸亜紀さんは「思ったよりも多い人数で変化が出た。働きやすい職場づくりのため、除草以外の可能性を考えたい」と展望する。従業員とヤギが触れ合う場づくりなどを想定する。
「アニマルセラピー効果知って」
同工場では、のり面などの除草のため、2014年からヤギを13頭ほど工場内で放牧している。池戸さんは「ヤギが来るようになって、従業員の表情を見ていると癒やされているように感じた」という。
同県美濃加茂市でヤギ放牧による除草事業を手がけ、同工場での放牧や今回の測定に協力したフルージックの渡辺祥二代表は「ヤギは除草だけにとどまらず、人間を癒やすアニマルセラピー効果もあることを多くの人に知ってほしい」と期待を寄せる。
労働者8割にストレス 対策実施事業所は6割
自分の仕事や職業生活に強い不安や悩み、ストレスを抱える労働者が82%に上ることが厚生労働省のまとめで分かった。政府は2027年までに50%未満に引き下げる目標を立てており、職場環境の改善を含め、労働者のメンタルヘルス対策をどう充実させるかが課題となっている。
常用労働者10人以上の民営事業所で働く人を対象にした調査で、ストレスの内容は「仕事の量」「失敗、責任の発生」などが挙がった。
政府は長時間労働の削減や過重労働による健康障害防止の一環として、過労死等防止対策大綱に基づき、仕事のストレスなどを抱える労働者を27年までに50%未満にする目標を定めている。
一方、メンタルヘルス対策を実践する事業所は22年時点で63%。「ストレスチェックの実施」「職場環境の評価・改善」などに取り組み、前年の59%から上昇した。ただ、27年までに80%以上に増やすとした政府目標とは依然開きがあり、労働現場での対策の後押しが求められている。