自主的な学びの場に
JA-DX推進研究会は、JAの組織基盤、事業・活動を強くするためのデジタル化の研究、無理せず手が届く「S-DX」を中心とした実装研究、デジタル人材の育成とネットワーク化を目的にしています。
今後の活動は、JA-DXの実現に向けた勉強会や専門家を起用したS-DXセミナーの開催、JAへの出前講義などを軸にしていきます。
JAの担当責任者を集めたワークショップを月1回程度実施。デジタル化したい業務の洗い出しや、導入の際の悩みなどをまとめテーマ設定し、オンラインを併用した勉強会を実施します。
シンプル、スマートフォン、スモールスタート、スピーディー、SNSのS-DX。今JAが求めている「手が届くDX」です。
その活用をJAの事業や部署別に、戦略的に考えていくのがこの研究会の目的。デジタル思考で経営マネジメントできる人材の育成が、究極の目標になります。
新しいことには、挫折と失敗がつきもの。DXに向けたチャレンジで壁を乗り越えるには、励まし、相談し合う仲間が大事です。研究会を、そういう場にしていきたいです。
運営委員に5JAの代表者
研究会は運営委員会を置き、活動計画などの重要事項を協議・決定します。初年度の運営委員は次のJA代表者が選ばれました。
JAいちかわ(千葉) 代表理事理事長・今野博之氏 | |
「デジタルでJA大きく」 |
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政府はデジタル庁やデジタル田園都市国家構想を掲げており、私たちとしても、いち早くデジタル化に取り組まねばと思っています。 また、准組合員を増やしていきたい。この研究会でデジタル化を学び、大きなJAを目指したいと思います。 |
JAはだの(神奈川) 代表理事組合長・宮永均氏 | |
「一緒に学んでいきたい」 |
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広報事業は依然として紙媒体が中心です。ホームページも開設していますが、今はインスタグラムに移行しつつあるといいます。今回は無理せず手の届く対応ということですので、まさに願ったり叶ったりの研究会で期待しています。皆さんと一緒に学んでいきたいと思います。 |
JAぎふ 代表理事組合長・岩佐哲司氏 | |
「壁を破り成果あげる」 |
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JAグループには、単協として突き破れない二つの大きな壁があります。一つは「事業の縦割りの壁」、もう一つは「イントラの壁」です。 この研究会では、DXが何か分かるだけでは意味がありません。ここで仲間づくりをして、具体的な成果をあげていきたいです。 |
JA菊池(熊本) 代表理事組合長・三角修氏 | |
「RPAで大きな効果」 |
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RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は、令和2年にJA山口県下関統括本部で研修させていただき、さっそく同年導入。昨年度は作業時間を2012時間削減。さらに供給金額も491万6000円増加しました。当JAとしても研究会に期待しています。 |
JA鹿児島きもつき 代表理事組合長・下小野田寛氏 | |
「頼りになる会に期待」 |
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当JAでは、デジタル人財センターという部署を設けて奮闘中です。この研究会は、非常にタイムリー。参加に当たっては三つの「た」が大事だと思います。それは「ためになる」「たのしい」「たよりになる」です。皆さんの悩みを出し合って、頼りになる研究会であってほしいと思います。 |
基調講演 S-DXイノベーションとウェブ3.0の可能性/先端技術と簡単の両立めざす
JA-DXアドバイザー・ITエンジニア
東武トップツアーズ(株)CDO・村井宗明氏
■ノーコードでアプリ開発
JAがDXに取り組むときの課題は、「便利で先進的な技術を、やらなければならない」、その一方で「組合員やJA職員が簡単にできなければならない」。この矛盾した条件を実現させるのが、S-DXでありJA-DXです。シンプル、スマートフォン、スモールスタート、スピーディー、SNSのS-DXをお勧めします。先端技術でもSNSでやれることに特化していった方が得です。LINEやユーチューブでだいたいのことはできるので、うまく活用しましょう。
昔のデジタル化は、全員に同じものを見せていました。今は顧客のデータに基づき、その人に合ったものを送ります。例えば、和牛農家には和牛のデータ、米農家には米、イチゴ農家にはイチゴといったように、その人が欲しがるものだけを送るのがポイントです。それを難しいツールを使わずに、LINEの中にプログラムを埋め込んでデータを取り、相手に特化した情報を送るのです。
LINEに連携したアプリを、ノーコード(専門言語を使わないプログラミング)で簡単に作る技術があります。これはどこのJAでも使われているエクセルで作れます。皆さんが自分でやれば安くなるのです。2日間の合宿研修で、JA職員自らがアプリを作れるようになります。
■メタバースもS-DXで
ブロックチェーン技術を活用した次世代型インターネットであるウェブ3・0への対応ですが、地方の通信環境が5Gになる前に関心を持って準備していきましょう。
インターネット上の仮想空間「メタバース」。JAのメタバースをLINEで体験する時代が、1、2年で来ます。これを作るには、LINEに埋め込む簡単メタバースがお勧めです。スマホで360度撮影したものをパソコンに取り込む。もちろん本格機材を使った方がきれいですが、スマホ撮影で十分です。
【プロフィル】
むらい・むねあき 衆院議員を3期、文部科学大臣政務官を務めるなど、行政デジタル化の専門家として活躍。政界引退後はヤフー、LINEなどを経て現職。
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