日本はSAF全量を輸入に依存するが、引き合いは世界的に強い。国土交通省は、国内でのSAFの利用量は今後拡大すると推計する。SAFの安定調達に向け、農水省は国産のテンサイやサトウキビを原料に製造できないかを探る。
ホクレンと東京大学などは、テンサイの糖蜜を栄養源に微細藻類を大量培養し、SAFの原料となるバイオエタノールを作る研究に22年7月から着手。農水省は、そうした先行研究の関係者や航空燃料の動向に詳しい商社、製糖業への聞き取りなどを通じ、製造コストや従来のジェット燃料と比べた温室効果ガスの削減効果などを調査している。
農水省は、製造コストが大きな壁になるとみる。従来のジェット燃料のコストは1リットル当たり100円程度だが、同省の過去の実証では、農作物からSAFの原料となるバイオエタノールを作る時点で、同200円。バイオエタノールからSAFを製造する工程も踏まえれば、費用はさらに増す。
農作物を燃料の原料に使うことに、食料価格高騰への影響を懸念する国際的な潮流もある。そのため航空業界は「廃食油や食品廃棄物、木質バイオマスなどを原料として、より有力視している」(国交省航空戦略室)という。
農水省は「技術的にSAF製造に活用できる結果が出たとしても、航空業界で利用が広がるかどうかも課題になりそうだ」(地域作物課)とみる。