目を輝かせる工藤さん
3月中旬。栃木県内のハウスに、印象的な瞳を輝かせながら、農家と生き生きと言葉を交わす工藤さんの姿があった。
同番組は、全国の新規就農者にスポットライトを当て、工藤さんが農作業を手伝いながら就農までの経緯や苦労、農業の魅力を語り合う。自身も年間約15品目の野菜を育てる工藤さんの飾らない等身大の言葉が、農家の本音を引き出していく。
ロケに参加した野木町の野菜農家、寳示戸幸子さん(45)は「楽しそうに農業をしているので、これから農業をやりたいという人にとって魅力的に映るはず」と、工藤さんの発信力に期待を寄せる。
本格的に農業の道へ
「自分と向き合う時間が多くて、今何をやるべきかを考えた時、お金ができたらとか、時間に余裕ができてから農業を始めるのは違う」と感じ、本格的に農業を始めることを決意した。
現在は、ドラマや映画の撮影の合間を縫って、片道2時間かけて北杜市の畑に通い、ブロッコリーやトウモロコシなどを栽培。自身の軽トラや農機も乗りこなす。「まずは何よりも、自分が農業に対して真摯(しんし)に向き合った上で発信をしないと、本当の意味では農業の現状も魅力も理解してもらえない」と力を込める。
番組で出会った農家とのやりとりから、新たな品目に挑戦することもあるという。「畑に行ける頻度や必要な管理などを計算して、作れるかどうか判断します。常にそういう目線で見てますね」と笑顔を見せる。今年は栽培面積を80アールに拡大する計画だ。
番組はBS朝日で毎週水曜午後10時から放送する。工藤さんは「農業に興味を持っている人は多いけれど、金銭面などが分からないという人も多い。農業の楽しさも大変さも、なるべくリアルを伝え、就農を目指す人の『参考書』になれれば」との思いを託す。
(斯波希)