会員・サポーター企業
初の交流・懇親会を開催
日本農業新聞は10月30日、JAの事業・業務を変革するデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めるJA―DX推進研究会が設立1年となることを機に、東京・秋葉原の日本農業新聞本社ビルで会員・サポーター企業交流会を開きました。会場には70人が参集したほか、オンラインで全国の会員も参加。懇親会では会員と企業が交流を深めました。会員・サポーターへの申込は▶こちら
交流会では、内閣官房内閣審議官の岩間浩氏が、「デジタルの力で実現する地方創生」と題して基調講演(▶講演内容はこちら)。研究会事務局からの昨年度の活動報告の後、JA―DXアドバイザーの絆イズム代表の石丸祐次氏、JSR代表の藤川信久氏、東武トップツアーズCDOの村井宗明氏の3人が所信を語りました(▶各氏のコメントはこちら)。続く懇親会では参加したサポーター企業があいさつ。JAの課題解決のためのソリューションや会員JAへのサポートについて意気込みを語りました。
昨年度(2022年10月~23年9月)の研究会活動報告
研究会は昨年9月末に設立総会を開き、10月1日から活動を開始しました。40団体からスタートし、今年10月末現在では賛助会員を含めて54団体となっています。その目的は、デジタル化で業務作業を効率化、コストを削減することで、JA利用の拡大と組合員との対話やコミュニケーションの拡大を図ることにあります。
昨年度は会員JAが抱えるさまざまな課題の中から優先課題として「予約購買の事業変革」「組合員とのコミュニケーション強化」の二つを抽出。トライアルを希望した四つのJAが二つの課題解決のソリューションを持つ企業からサポーターを選出。トライアルとして範囲と期間を絞り、実際のJAの現場で当該ソリューションを検証し、その過程や結果を研究会内で横展開してきました。
今年度も全国のJAのデジタル化、DXの取り組みについての情報を共有し、JA事業におけるさまざまな課題について研究を進めていきます。あわせて、定期的なセミナーや合宿・研修、視察などを予定しています。
JA―DXアドバイザーから
アナログデータをデジタルに
石丸 祐次氏
絆イズム代表
デジタル化とは、アナログデータをいかに早く正確にデジタルに変えることができるのかがポイントです。その一方、デジタル化により①情報漏えい対策②デジタルツールに頼り過ぎず、組合員との接点を忘れない③業務フローのDX化にはJA自身が課題を洗い出し可視化する必要がある──ことも重要です。研究会の設立で機運高まる
藤川 信久氏
JSR代表
JA下関の常務時代に、ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)というソフトウェアロボットを使って水稲肥料農薬の予約購買の改革に取り組みました。データ入力時間80%削減、供給量20%増の好結果が出ました。JA―DX推進研究会がJA改革の機運を高める取り組みのひとつになっていると思います。「S-DX」を目指して進め
村井 宗明氏
東武トップツアーズCDO
DXは二つあります。ハイコスト、ハイスペックの「H-DX」、そしてスモールコスト、スピーディー、スマートフォンの「S-DX」です。S-DXがJAの進むべきDX。研究会の活動の一環として、ノーコード合宿を行いました。今後もスマホでJAと組合員がつながる仕組みを構築するお手伝いをしていきます。-基調講演-
「デジタルの力で実現する地方創生」
岩間 浩氏
内閣官房・内閣審議官
デジタル田園都市国家構想実現会議・事務局審議官
人口減少や農業の課題 切り口は「デジタル」
わが国の人口は、2008年にピークに達し、その後は大きく減少しています。そのため、かつて人口拡張時代に作ったものを人口減少局面の今、どうしていくかが課題です。その一つの大きな切り口が「デジタル」だと考えています。また東京一極集中が続く中、若い人をどう地元に帰すかも課題です。デジタル田園都市国家構想(デジ田)では、30年度までに、全ての地方自治体がデジタル実装に取り組むことを見据え、それを行う地方公共団体を24年度までに1000団体、27年度までに1500団体にする目標を掲げています。
今の農業は、技術の伝承や担い手減少の中での生産性の確保が課題です。22年度の基幹的農業従事者の平均年齢は68・4歳。50歳以下は全体の20%です。生産者の働き方改革が急務です。また環境負荷低減の観点からも、スマート農業やデジタルの果たす役割があると考えています。
人工知能(AI)を活用した研究開発では、病害虫や土壌診断アプリ、収穫適期を自動判断する収穫ロボット、ドローンによるデータセンシングなどさまざまな成果が報告されています。
デジ田の交付金は、23年度と22年補正を合わせると1800億円が措置されています。サイトに詳細が出ていますので、積極的に活用してください。
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