
東京都内の女性から本紙「農家の特報班」に調査依頼が届いた。価格が妙に安く、桃の盗難のニュースも聞くため、心配になったという。交流サイト(SNS)上でも、価格を理由に「盗品では」との推測が飛び交う。桃の出どころを探った。
特報班はまず、桃を売る軽トラを探した。だが、場所を告知せずに販売する軽トラを探すのは雲をつかむようなものだ。7月下旬、SNSの目撃情報を頼りに、複数の記者が都内の繁華街の駅前を中心に捜索。5日目でようやく発見した。
場所は、JR山手線の駅近くのガード下。「産地直送」「桃7個300円から」という看板を掲げていた。荷台をのぞくと、屋号の入った黄色いコンテナが所狭しと並ぶ。中には、フルーツキャップをかぶせた桃が平積みされていた。

産地や品種名の表示はないが、男性に聞くと「山梨県」「『川中島(白桃)』と『さくら』」と、よどみなく答えた。後日、同県内のJAに確認すると、確かにこの時期に出回る品種だった。
どんな桃か確認するため、記者は5個1000円の桃を買った。330グラム~450グラムと大玉で、味も悪くはない。だが、キャップを取ると幅1、2センチほどの傷の付いたものがあった。市場関係者によると、これほど大きな傷がある桃を都内の青果市場で見かけることはほとんどないという。

そんな時、桃の出どころに心当たりがあるという女性から、手がかりとなる情報を聞くことができた。「山梨で農家から(規格外の)桃を買い取っている業者がいる」。その業者の桃ではないかというのだ。特報班は山梨へ向かった。▶(下)を読む
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