サクナヒメと仲間たちが種もみの選別から手間を惜しまずに作り上げた米「天穂(あまほほ)」は、都でも上々の評価を得ます。そんな矢先、都に出回っている「天穂」に、別の米が混ざるという騒動が巻き起こります。
サクナヒメは、神々を統括する主神「カムヒツキ」には無断で都に戻り、真相を探ります。騒動の張本人は、なんとココロワヒメでした。
無断で都に戻ったサクナヒメ、騒動を起こしたココロワヒメの二人は、カムヒツキから叱責を受けます。その結果、ココロワヒメはヒノエ島にとどまり、島に出没する鬼のことを調べるサクナヒメの仕事を手伝うよう使命を受けます。サクナヒメと同様に、ココロワヒメも都から島に移り住むことになりました。

都から島にやってきたサクナヒメやココロワヒメと同じように、現実でも今、都市から農山村に移り住む若者は少なくありません。サクナヒメのように農業に携わるケースもあります。総務省が所管する「地域おこし協力隊」のように、農山村への移住を望む若者らをサポートしながら、地域の人材確保につなげる制度もあります。
地域おこし協力隊の隊員数は2009年度の創設以来、増え続けています。23年度は全国で7200人が活動していて、7000人を突破しました。自治体が住民票を移動させた若者らを隊員として委嘱。隊員は地域ブランドや地場産品の開発販売、農林水産業への従事などに関わります。
隊員の任期はおおむね1年以上3年以下。一定数の隊員はその後、活動していた自治体に定住しています。22年度までの直近5年に任期を終えた隊員のうち、活動していた自治体に定住した人は4463人に上り、全体の57%を占めます。
直近5年間で隊員としての任期終了後、活動していた自治体に定住した人のうち、農畜産業へ就農した人は424人、農業法人や森林組合などに就業した人は131人います。協力隊が地域の農業を担う人材育成の場になっている側面があります。

都から島に移り住んだサクナヒメは、このまま定住するのでしょうか。毎年、手間を惜しまず稲作を続けてきたサクナヒメは、かつてのぐうたらっ子ぶりを見せることが少なくなり、おいしい米作りに力を注ぐようになってきました。地域おこし協力隊から就農した人のように、今後も島で稲作を続け、農業の担い手となっていくのか気になるところです。

協力隊の任期後、製造業に就く人もいます。ココロワヒメは発明を司る神で、人型ロボットのような形をしていて重い荷物も持ち運べる「カラクリ人形」を造ることもできます。島に住み続けるようになれば、サクナヒメたちの稲作に役立つ道具をどんどん製造し、島での生活を便利にしていく人材になっていくかもしれません。

次回第9話は「鬼、統べる者」。サクナヒメたちの田植えシーンが出てくるようです。これまでの手植えから打って変わって道具を使い、その様子をココロワヒメが見守る場面が登場します。サクナヒメたちの稲作がこれからどう変わっていくのか注目されます。
テレビ放送の時間帯と放送局は次の通り。
▽毎週土曜日午後11時から=テレビ東京、テレビ大阪、テレビ愛知、テレビせとうち、テレビ北海道、TVQ九州放送
▽毎週火曜日午後9時半から=AT-X
▽毎週金曜日午前1時29分から=熊本県民テレビ
▽9月2日から毎週月曜日午前2時(毎週2話ずつ、最終回のみ1話)=富山テレビ放送
各種動画配信サービスでも配信されている。
(C)えーでるわいす/「天穂のサクナヒメ」製作委員会