
廃校が観光名所に 千葉・鋸南町
キーン、コーン、カーン、コーン。正午を告げるチャイムが鳴った。9年前に廃校になった千葉県鋸南町立保田小学校は、家族連れでにぎわっていた。
土のグラウンドはアスファルトの駐車場に変わったが、2階建て校舎はほぼ当時のまま。町民から「活用して」と要請を受け、廃校の翌年に「道の駅」として再生された。かつての教室は、レストランやカフェ、ホテルに、体育館は、旬の野菜や果物が並ぶ直売所に改装された。
ひときわにぎわっていたのが、1階の教室に設けられた「里山食堂」。机や椅子は再利用され、黒板は廃校当時のままだという。
千葉市から来た永福瑞恵さん(42)は「保田小給食」を注文。人気メニューの一つで、アルマイト製の食器に鯨の竜田揚げ、ハムカツ、赤色ウインナーソーセージ、カレーのルーが盛られている。捕鯨が盛んだった千葉は、鯨肉が給食の定番だった。永福さんは「千葉育ちには、たまらない」と夫の直樹さん(43)にうれしそうに言った。
年間100万人が訪れる人気の道の駅になった。駅長の中村靖さん(49)は「ここに来ると思い出が浮かぶのでしょう」と語った。
学びの庭の楽しさよ♪ 午後3時、子どもが歌う保田小校歌が流れた。教室を往来する人々の表情が、少年少女のように輝いて見えた。
“教室”でほろ酔い 大阪の居酒屋
「校長室」のソファに座り、ビールをごくり。東京や大阪などに展開する個室居酒屋「6年4組」は若者でにぎわい、交流サイト(SNS)でも話題だ。
店内には昭和の雰囲気が漂う。大阪市の「梅田分校」では教室、理科室、職員室、校長室を再現した個室で揚げパンやソフト麺を楽しめる。
店長の佐藤大介さん(27)は「昔の教室と給食メニューは『SNS映え』する。客層の7割は20、30代の女性。昭和文化は若い世代に新鮮に映っています」と話す。

懐かしカレー再現 岡山・総社市
定番メニューといえば今も昔もカレーライス。岡山県総社市は、各校に給食調理室があった昭和時代の全小学校の味を再現したレトルト「そうじゃ小学校カレー」を7年前から販売している。
市農林課の職員が自校調理式だった半世紀前の調理員や卒業生を探し出して取材し、「当時の味」を再現。全17校分。市は1食の売り上げにつき20円を各校に寄付し、教育備品などの購入に役立ててもらっている。
インターネットやJR秋葉原駅近くの「日本百貨店しょくひんかん」でも売られている。

子どもの命を守る学校給食が注目を集める。全国の多様な取り組みを伝える。