小中学校の運動会を秋から春に変える市町村が相次ぐ中、京都市では秋実施を続け、コロナ禍を境に土日から平日開催へ、弁当から給食へと変える学校が少なくない。「平日ならば給食を出せるし、保護者の負担も減らせます」。市教育委員会の西田幸雄・給食課長が代弁した。伝統と変革を調和してきた古都ならでは選択だ。
同市は全158小学校が給食調理室を持つ完全自校式を貫く一方、郷土料理を中心とした献立を4ブロックに分けて共通化した。「九条ねぎ」「賀茂なす」「万願寺とうがらし」などの京野菜を使い、おばんざいと呼ぶ総菜を基本に、若竹汁、ごまめなど季節の味を覚えてもらう。
同小ではこの日、切り干し大根の炊いたんやサバの生姜煮といったおばんざいと、干しシイタケなど天然だしで取ったすまし汁に麦ごはん、牛乳が並んだ。応援団長など重責を負う6年生も休戦。教室に笑顔の花が咲いた。
東京から転校してきた後藤咲希さん(11)は「和食メニューの多さ」に驚き、おばんざい給食が大好きになった。京都で生まれた池田琴音さん(11)は「好きなものを選べない程、どれも味わい深い」と表現した。ネパール出身のカンデル・ディピカさん(12)は「給食が毎日ある」ことに感動。同市が故郷の波多野愛校長が「市の教員になる動機の一つが給食のおいしさだった」と打ち明けた。
午後の部が始まり、児童が再び紅白に分かれた。観戦の制約も解かれ、平日でも多くの保護者や地域のお年寄りが駆け付けた。歓声と拍手が高い空に吸い込まれていった。
子どもの命を守る学校給食が注目を集める。全国の多様な取り組みを伝える。