

夜間中学は日本語の読み書きや学習指導要領に応じた科目が学べる。終戦後、大陸からの引き揚げ者や昼間に働かざるを得ない生徒のために設立され、最盛期の1950年代は全国89校で5000人が在籍した。
21世紀に入ると、職を求める東南アジアの人々や、不登校の生徒へと変わり、22年度は40校1700人。同校も日本や中国、ネパールなど9カ国・地域出身の16~82歳、計39人が学ぶ。
同区出身の男子生徒(16)は、親の離婚や学校でのトラブルが重なり、中学校に通えなかった。既卒扱いだが、学び直そうと昨年から通う。お腹いっぱい食べられる給食が「何よりの幸せ」だと笑った。
学校給食法は、夜間中学を含む義務教育諸学校が給食の提供に努めるよう自治体に求める。だが、大半の夜間中学は財源不足を背景に提供できていない。
一方、同校の70周年記念誌には都内初の“夜間給食”を笑顔で食べる生徒の写真がある。登坂一晴副校長は「給食が夜の学びを支えてきたのは今も昔も変わらない」と言った。
そうした中、足立区は4月、昼間と同様に給食の無償化を決めた。登坂副校長は「生徒は本当に救われています」と感謝する。
午後7時、給食のチャイムが鳴った。この日は10月27日で、「十三夜」の別名「栗名月」にちなんで夜間専任の栄養職員が考案した特別メニューだ。
家庭の事情で学校に通えなかったフィリピン出身の澤田ジュリザさん(45)は「給食は日本文化の勉強です」と栗おこわや月見餅を頬張った。日本人の夫と3人の娘から給食のおいしさを教えてもらっていたが、「こんなにおいしいなんて想像できませんでした」。
子どもの命を守る学校給食が注目を集める。全国の多様な取り組みを伝える。