

育てたり、収獲したり、運んだり、加工したり、調理したり――。たくさんの人が関わることで今日も「いただきます」が言える。給食センターなどに勤務する栄養教諭らが、児童・生徒に食の大切さと地域の誇りを知ってもらいたいと「とっとりふるさと探検献立」を始めたのは、東日本大震災発生直後の2011年5月だった。
以来、「食育の日」に当たる毎月19日前後に鳥取産の農海産物1品を主食材にしたメニューを作成。探検気分を味わってもらおうと、栽培の様子や農家のインタビュー内容を写真を交えたレポートにして配布したり、授業で伝えたりしてきた。
市教育委員会学校保健給食課によると、主食材にしたのは11月末現在、シイタケ、ラッキョウ、赤梨、アカガレイなどの他、「大黒なす美」「二十世紀梨」「星空舞」といったブランド品を含め計48品127回。JA鳥取いなばの各生産部会が給食用の栽培計画を立て、旬の農産物を提供している。
同市も農家の高齢化と担い手不足は深刻で、まとまった生産ができなくなりそうな食材もある。だからこそ、同校の栄養教諭を務める白間三幸さんは和食を重視する。「子どもに給食を支える人の姿を知ってもらい、次世代へ地域の食をつないでいけたら」とレポート作成にも携わる。
影山さんと一緒に砂丘甘藷のそぼろ煮をお代わりした田淵一樹君(7)の大好物もサツマイモ。自宅では母さんが作る芋けんぴに目がないそうだ。将来の夢はサッカー選手。「お芋をたくさん食べて、たくさん練習して、日本中の人に『頑張れー』って応援してもらえる選手になりたい」と言った。
子どもの命を守る学校給食が注目を集める。全国の多様な取り組みを伝える。