

イネ科の穀物「ソルガム」は、耕作放棄地を減らすため市内で栽培が広がっており、ひき肉のような食感は、マーボー豆腐によく合う。5年の荒井凱さん(11)は、山盛りの麦ご飯にマーボー豆腐をのせ、瞬く間に平らげた。
長野市は全国主要都市の中で小学校の給食費が最も高い。総務省調査では都道府県庁所在市と人口15万以上の主要都市の小学校で平均年4万8001円に対し、同市は5万8786円。
理由は大きく二つあるという。
長野県は夏の長期休みが少なく、給食の実施回数が全国平均の年192回を上回る同200回と全国最多であること。同給食センターの栄養教諭・豊田真奈美さんが語るように「地元食材をできるだけ多く使っている」ということだ。
同市では油揚げ、小麦粉、トマトケチャップなどの加工品にも県産や市産の大豆、小麦、トマトが使われている。輸入原材料で製造される市販品より割高になるという。
また同県の栄養教諭らは約15年前から、県産食材にこだわったオリジナルメニューを開発。生産量日本一のブナシメジやエノキタケを使った肉シューマイもその一つで、給食の献立に取り入れている。「長野で取れた物や文化について知ってほしい」との思いからだ。
給食センターから各教室に届く食器かごには毎日、1枚の便りが入っている。その日の食材や季節の行事、生産者の声を、クイズを交えて紹介する。
「みそは赤と白がありますが主に何によって色が違うのでしょう」「今年はある影響で長ネギが大きくならず、農家さんはとても苦労しました。ある影響とは何でしょう」
給食は子どもたちの生きた教材にもなっている。
子どもの命を守る学校給食が注目を集める。全国の多様な取り組みを伝える。