日本農業新聞は昨年4月、全国の学校給食と産地、それにまつわる多彩な人模様を伝える随時連載「給食百景」をスタートした。子どもの健やか成長を支える大切な1食が、どんな思いで作られ、子どもたちに届いているのだろう。今回で19都道府県25カ所目。「百景」は、遠く、楽しく、おいしく、2024年も続きます。
みんなで考えたかるたで環境学習

「ぴーまんも 食べてあげよう 泣いちゃうぞ」
「るんるんるん 食べ物買いすぎ 注意だよ」
「分け合えば 貧困の人 みんな食べられる」
読み上げていたのは栄養教諭の中舘真由さん(26)。小学生の時から給食が大好きで、天職に就いた。かるたを始める前に日本の食品ロスの年間総量を伝えた時、よく使われる東京ドームの個数から島でよく見かける軽トラックの台数に置き換えた。児童は瞬時にイメージし、驚いた。
日本復帰70年を迎えた奄美大島は、沖縄本島を除く国境離島の中で佐渡島に次ぐ2番目の広さだ。例外なく少子化は深刻だが、学校は統廃合されず、島の各地に少人数の学び舎がある。各校で調理する自校式から6年前に給食センターの共同式に移行した後も、地域の食を大事にする。
「買い物を する前にチェック 冷蔵庫」
「お菓子ばっかり 食べないで 野菜を食べよう」
「放置した ゴミが子孫に 託される」
残るかるたが減り、複数の手が重なる。かるた遊びが終わり、好きな給食の話題で盛り上がった。5枚を取った4年の森岡莉緒さん(10)は「(島料理の)鶏飯が一番」。「眼鏡を忘れて3枚だけだった」と悔しがった6年の松山結奈さん(12)も「島の野菜を使った全ての料理」と笑顔で言った。
19都道府県25カ所
郷土の個性、光る工夫
栃木県栃木市は県立栃木農業高校と協定を結び、農高生が育てた食材を市内の全小中学校に供給。先輩が生産し、後輩が消費する構図だ。香川県綾川町の小学校は児童自らが食材を買い、調理する「弁当の日」開始から23年。当初の児童は母親になり、わが子の弁当作りに目を細める。
京都市ではコロナ対策で運動会を平日にする学校が登場。弁当から給食に変えたことで、児童は一時休戦し、伝統的食を楽しむ。広島県廿日市市では、朝食を食べる習慣をつけさせようと学校で朝ごはんを提供している。
東京都日野市は地元JAや農家と連携して栽培計画を立て、地産地消率が3割を超えた。農地の少ない東京だが、都市農業の活性化につながっている。

給食百景のこれまで
2023年4月~
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